「ロード・オブ・ザ・リング」のあらすじが知りたいけれど、物語が壮大すぎてどこから手をつければいいか分からない、と感じていませんか。この記事では、物語のあらすじを全体的に分かりやすく解説するとともに、三部作である旅の仲間、二つの塔、王の帰還の各あらすじを詳しくご紹介します。
さらに、多くの人が気になるあの結末になったのはなぜかという疑問や、シリーズを楽しむための見る順番と見どころも網羅しました。複雑な登場人物を整理する相関図や、物語の核心に迫るサウロンはなぜ指輪を作ったのか、そして裏切り者サルマンのその後はどうなったのかといった深いテーマにも触れていきます。
また、物語の始まりであるビルボとフロドの関係や、そもそもビルボ・バギンズはなぜ旅に出たのかという背景、隠された指輪の意味や物語の元ネタまで、あなたの疑問を解消する情報を詰め込みました。
この記事を読むことで、以下の点について理解が深まります。
- 三部作の物語の流れと各作品の要点
- 主要キャラクターの関係性と物語の背景
- サウロンや指輪に関する物語の核心
- シリーズを最大限楽しむための視聴順序

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基本からわかるロードオブザリングあらすじ
この章のポイント
- 物語のあらすじを全体的に解説
- 旅の仲間、二つの塔、王の帰還のあらすじ
- 登場人物がわかる便利な相関図
- 物語の鍵を握るビルボとフロドの関係
- ビルボ・バギンズはなぜ旅に出たのか?
- シリーズを見る順番と作品の見どころ
物語のあらすじを全体的に解説
「ロード・オブ・ザ・リング」の物語の核心は、絶大な力を秘めた「一つの指輪」を破壊するため、ホビット族の青年フロド・バギンズが仲間と共に冒険の旅に出るというものです。この指輪は、かつて冥王サウロンが世界を支配するために自らの魂の一部を注ぎ込んで作り出した、非常に危険な存在です。
物語の舞台は、人間やエルフ、ドワーフといった多様な種族が暮らす架空の世界「中つ国」です。サウロンは指輪の力で世界を闇に包もうとしますが、人間とエルフの連合軍との戦いに敗れ、指輪は彼の指から切り落とされます。しかし、指輪は破壊されずに数千年の時を経て、ひょんなことからホビットのビルボ・バギンズの手に渡り、やがて彼の養子であるフロドに託されることになります。
指輪が再び見出されたことを知ったサウロンは、その力を取り戻すべく活動を再開します。世界を救う唯一の方法は、指輪が作られたモルドール国の「滅びの山」の火口にそれを投げ込み、完全に破壊することだけです。こうしてフロドは、魔法使いガンダルフや人間のアラゴルン、エルフのレゴラス、ドワーフのギムリ、そしてホビットの仲間たちと共に、9人の「旅の仲間」として指輪を破壊するための長く過酷な旅路へと出発します。

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旅の仲間、二つの塔、王の帰還のあらすじ
「ロード・オブ・ザ・リング」三部作は、それぞれが壮大な物語の一部を構成しています。ここでは、各作品のあらすじを順に見ていきましょう。
【1作目】ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間
物語は、ホビット庄の穏やかな村から始まります。ホビットの青年フロド・バギンズは、養父ビルボから一つの指輪を譲り受けます。魔法使いガンダルフは、それが世界を脅かす冥王サウロンの指輪であることを見抜き、フロドに指輪を破壊する使命を託します。
フロドは友人のサム、メリー、ピピンと共に故郷を旅立ちます。道中、人間のアラゴルンやボロミア、エルフのレゴラス、ドワーフのギムリと合流し、ガンダルフを加えた9人の「旅の仲間」を結成。彼らは指輪を破壊する唯一の場所である「滅びの山」を目指します。
しかし、旅の行く手にはサウロンの手先であるオークや、裏切りの魔法使いサルマンの妨害が待ち受けます。さらに、指輪が持つ邪悪な魔力は、仲間たちの心に不和を生じさせます。モリアの坑道ではガンダルフが奈落へ落ち、旅の終わりには仲間の一人ボロミアが命を落とすなど、一行は大きな犠牲を払うことになります。最終的にフロドは、仲間への影響を恐れ、忠実なサムだけを連れて二人でモルドールへ向かうことを決意します。
【2作目】ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
旅の仲間が離散した後、物語は3つの視点で進みます。フロドとサムは、滅びの山を目指す道中で、かつての指輪の所有者であるゴラムと出会います。彼を道案内としてモルドールへ向かいますが、ゴラムの裏切りと指輪の重圧がフロドを精神的に追い詰めていきます。
一方、オークにさらわれたメリーとピピンは、森の番人であるエント族と出会い、彼らを味方につけて魔法使いサルマンの拠点アイゼンガルドを攻撃します。
そして、アラゴルン、レゴラス、ギムリの3人は、メリーとピピンを救出する過程で、死んだと思われていたガンダルフと再会します。彼は「白のガンダルフ」として復活し、一行を導きます。彼らは人間の国ローハンをサルマン軍の脅威から守るため、伝説として語り継がれる「ヘルム峡谷の戦い」で壮絶な防衛戦を繰り広げることになります。
【3作目】ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
三部作の完結編です。冥王サウロンの全軍が、人間たちの最後の砦であるゴンドール王国の首都ミナス・ティリスへ総攻撃を開始します。アラゴルンは、ゴンドールの正当な王位継承者としての宿命を受け入れ、「死者の軍勢」を率いて仲間たちの救援に向かいます。ペレンノール野では、映画史に残る大規模な合戦が繰り広げられます。
その頃、フロドとサムはゴラムの案内でついに滅びの山へ到着します。しかし、長旅と指輪の魔力によって心身ともに限界に達したフロドは、最後の最後で指輪を破壊するのをためらってしまいます。中つ国の未来が絶望に包まれかけたその時、指輪に執着するゴラムがフロドに襲いかかります。
もみ合いの末、ゴラムは指輪と共に火口へと落下し、ついに指輪は破壊されます。サウロンは滅び、中つ国に平和が訪れます。アラゴルンは王として即位し、ホビットたちは英雄として故郷へ帰還します。しかし、指輪を運び続けたフロドの心と体の傷は深く、彼は仲間たちに見送られながら、癒やしを求めてエルフと共に西の海へと旅立つのです。

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登場人物がわかる便利な相関図
「ロード・オブ・ザ・リング」は登場人物が多いため、関係性を把握するのが難しいと感じる方もいるかもしれません。そこで、主要なキャラクターの関係性を以下の表に整理しました。これを参考にすることで、物語の理解がより一層深まるはずです。
種族 | キャラクター名 | 立場・役割と関係性 |
ホビット | フロド・バギンズ | 主人公。「一つの指輪」の運び手。ビルボの養子。 |
サムワイズ・ギャムジー | フロドの庭師であり、最後まで旅を共にする親友。 | |
メリー&ピピン | フロドの親戚であり友人。「旅の仲間」の一員。 | |
魔法使い | ガンダルフ | 「旅の仲間」の賢明な導き手。後に「白のガンダルフ」として復活。 |
サルマン | 魔法使いの長だったが、サウロン側に寝返り、裏切る。 | |
人間 | アラゴルン | 「旅の仲間」のリーダー格。ゴンドール王家の末裔で、後に王となる。 |
ボロミア | ゴンドールの戦士。指輪の誘惑に屈するが、仲間を守り命を落とす。 | |
エルフ | レゴラス | 「旅の仲間」の一員で、弓の名手。ドワーフのギムリと友情を育む。 |
アルウェン | エルフの姫で、アラゴルンの恋人。彼と共に生きるため人間になる道を選ぶ。 | |
ドワーフ | ギムリ | 「旅の仲間」の一員。斧の戦士。エルフのレゴラスと固い絆で結ばれる。 |
敵勢力 | サウロン | 「一つの指輪」の創造主である冥王。世界を支配しようと目論む。 |
ゴラム(スメアゴル) | 元はホビットに近い種族。指輪への執着から心身を蝕まれた存在。 |
物語の鍵を握るビルボとフロドの関係
物語の核心には、ビルボ・バギンズと、彼の養子であるフロド・バギンズの関係が存在します。ビルボは「ロード・オブ・ザ・リング」の約60年前を描いた「ホビットの冒険」の主人公であり、ゴラムから偶然「一つの指輪」を手に入れた人物です。
ビルボはフロドの両親が亡くなった後、彼を引き取り、実の子のように育てました。そのため、二人の間には単なる親戚以上の、深い愛情と信頼関係が築かれています。物語の冒頭、ビルボが111歳の誕生日を機にホビット庄を去る際、長年所有してきた指輪をフロドに譲る場面は、物語が大きく動き出すきっかけとなります。
この指輪の継承は、単なる財産の譲渡ではありません。ビルボが知らず知らずのうちに背負っていた「世界の運命を左右する重荷」を、フロドが引き継ぐことを意味していました。フロドが指輪を破壊する旅に出る決意を固めた背景には、敬愛する養父ビルボから託されたという責任感と、彼を守りたいという思いがあったと考えられます。
また、旅の途中でフロドが裂け谷でビルボと再会するシーンでは、ビルボがかつて使っていたミスリル製の鎖かたびらと、エルフの短剣「つらぬき丸」をフロドに渡します。これらは後の旅で何度もフロドの命を救うことになり、二人の絆が物理的な形となってフロドを守り続ける象徴となっています。
ビルボ・バギンズはなぜ旅に出たのか?
前述の通り、ビルボ・バギンズは「ホビットの冒険」の主人公であり、彼の旅が「ロード・オブ・ザ・リング」の物語の遠因となっています。では、そもそもなぜ彼は旅に出ることになったのでしょうか。
本来、ホビットは平和で穏やかな暮らしを好み、冒険とは無縁の種族です。ビルボも例外ではなく、ホビット庄にある快適な自宅で静かに暮らすことを望んでいました。しかし、彼の日常は、魔法使いガンダルフと13人のドワーフたちの突然の訪問によって一変します。
ドワーフたちは、邪竜スマウグに奪われた彼らの故郷「はなれ山(エレボール)」と財宝を取り戻すための冒険を計画していました。そしてガンダルフは、この危険な任務を遂行するために必要な「忍びの者」として、ビルボを強く推薦したのです。
ビルボ自身は全く乗り気ではありませんでしたが、彼の血筋には冒険好きな一面が隠されていました。最終的に彼は、ドワーフたちの悲願とガンダルフの説得に心を動かされ、半ば強引な形で冒険の旅に参加することを決意します。この「思いがけない冒険」の途中で、彼はゴラムと出会い、「一つの指輪」を手に入れることになります。つまり、ビルボが快適な日常を捨てて一歩を踏み出した勇気が、結果的に中つ国の歴史を大きく動かすきっかけとなったのです。
シリーズを見る順番と作品の見どころ
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズをこれから楽しむ方にとって、どの順番で見るかは重要なポイントです。主な視聴順には「公開順」と「時系列順」の2つがあり、それぞれに異なる魅力があります。

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公開順での視聴
初心者の方に最もおすすめなのが、映画が実際に公開された順番で視聴する方法です。
- ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間 (2001)
- ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 (2002)
- ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003)
- ホビット 思いがけない冒険 (2012)
- ホビット 竜に奪われた王国 (2013)
- ホビット 決戦のゆくえ (2014)
この順番の最大のメリットは、作り手が意図した通りに物語を体験できることです。まず「ロード・オブ・ザ・リング」で壮大な物語と世界の危機を体感し、その後に前日譚である「ホビット」を見ることで、「一つの指輪」の起源やキャラクターたちの過去が明らかになり、伏線に気づく楽しみがあります。
時系列順での視聴
物語世界の歴史の流れに沿って体験したい方には、時系列順がおすすめです。
- ホビット 思いがけない冒険
- ホビット 竜に奪われた王国
- ホビット 決戦のゆくえ
- ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間
- ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
- ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
この順番で見ると、ビルボの冒険からフロドの旅へと続く、中つ国の歴史の流れをスムーズに理解できます。ただし、「ホビット」には「ロード・オブ・ザ・リング」に繋がる伏線や未来を示唆する描写が含まれるため、初見の場合はネタバレと感じる可能性がある点には注意が必要です。
視聴順 | メリット | デメリット | おすすめの対象者 |
公開順 | ・作り手の意図通りに体験できる ・ネタバレを避けられる ・伏線に後から気づく楽しみがある | ・物語の時系列が途中で過去に戻る | 初めてシリーズを観る方 |
時系列順 | ・中つ国の歴史の流れが分かりやすい ・キャラクターの背景を先に理解できる | ・ネタバレの可能性がある ・作品の雰囲気の違いを感じやすい | シリーズを一度観たことがある方 |
見どころとしては、ニュージーランドの雄大な自然を活かした壮大なロケーション、アカデミー賞を受賞した映像美と音楽、そして種族を超えた友情やキャラクターたちの成長物語が挙げられます。特に「王の帰還」で描かれる大規模な合戦シーンや、フロドとサムの絆の強さは、多くの観客の心を打ちます。




より深く知るロードオブザリングあらすじ
この章のポイント
- サウロンはなぜ指輪を作ったのか?
- 物語を彩る指輪の意味と元ネタ
- 裏切り者サルマンのその後はどうなった?
- あの結末になった最後はなぜか?
- 壮大なロード オブザ リングのあらすじ総括
サウロンはなぜ指輪を作ったのか?
物語の元凶である冥王サウロンが「一つの指輪」を作った理由は、中つ国のすべての生き物を自らの支配下に置くためでした。彼の目的は、単なる破壊や殺戮ではなく、秩序と統制への歪んだ渇望に基づいています。
元々サウロンは、神のような存在であるヴァラールに仕えるマイアールという種族の一人であり、優れた秩序と完璧さを求める性質を持っていました。しかし、その思いが次第に暴走し、自らの意思で世界を完全にコントロールしたいという欲望に変わっていきます。彼は、堕落したヴァラールであるモルゴスに仕え、やがて彼に代わる「闇の王」となりました。

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サウロンは、直接的な武力だけで支配するのは非効率的だと考え、より巧妙な計画を立てます。それが「力の指輪」の創造でした。彼は、高い鍛冶技術を持つエルフたちを欺き、彼らに16個の指輪(人間の王に9つ、ドワーフの王に7つ)を作らせます。そして、彼らには秘密で、それら全ての指輪を支配するための、より強力な「一つの指輪」を滅びの山の火で鍛え上げたのです。
この「一つの指輪」には、サウロン自身の魂と力の大部分が注ぎ込まれていました。そのため、これを持つことで他の指輪の所有者たちの心を操り、中つ国全体を間接的に支配することが可能になるはずでした。つまり、サウロンにとって指輪は、自らの支配体制を完成させるための、究極のツールだったと言えます。
物語を彩る指輪の意味と元ネタ
「ロード・オブ・ザ・リング」に登場する「一つの指輪」は、単なる魔法の道具ではなく、物語全体を貫く重要な象徴です。この指輪は、権力、誘惑、そして堕落といったテーマを体現しています。
指輪が持つ最も恐ろしい力は、所有者の心を蝕み、堕落させる魔力です。どんなに善良な人物でも、指輪を長く持ち続ければ、その力に魅了され、やがては我を失い、邪悪な存在へと変貌してしまいます。作中では、ゴラムやボロミア、そして最後にはフロド自身も、この強力な誘惑に苦しめられます。これは、絶対的な権力が必然的に腐敗を招くという、普遍的な警告として解釈できます。
一方で、物語の元ネタに目を向けると、原作者J.R.R.トールキンが言語学者として深い知識を持っていた北欧神話やゲルマン神話の影響が色濃く見られます。例えば、北欧神話には「アンドヴァラナウト」という、所有者に富をもたらす代わりに破滅を呼ぶ魔法の指輪が登場します。この設定は、「一つの指輪」のインスピレーション源の一つと考えられています。
また、賢明な魔法使いガンダルフの姿は、北欧神話の主神オーディンを彷彿とさせます。他にも、エルフやドワーフといった種族の設定、壮大な世界の創造など、多くの要素がヨーロッパの古代神話や叙事詩に根差しています。しかし、トールキンはこれらを単に模倣するのではなく、キリスト教的な価値観(慈悲、自己犠牲、希望など)と融合させ、独自の神話体系として昇華させました。これらの背景を知ることで、物語の奥深さをより感じられるはずです。
裏切り者サルマンのその後はどうなった?
白の賢者でありながら、サウロンの力に魅了され裏切った魔法使いサルマンの末路は、映画版と原作小説で大きく異なります。
映画「王の帰還」のエクステンデッド・エディションでは、彼の最後が描かれています。指輪戦争の終結後、ガンダルフやアラゴルンたちがサルマンの拠点であるオルサンクの塔を訪れます。サルマンは塔の上から降伏を拒否し、一行を罵ります。その時、彼の背後にいた側近の蛇の舌グリマが、サルマンをナイフで刺し、彼は塔から転落して絶命します。長らく虐げられてきたグリマによる、土壇場での裏切りでした。
一方、原作小説では、サルマンの物語はさらに続きます。彼は塔から解放された後、蛇の舌グリマと共にフロドたちの故郷であるホビット庄へと向かいます。そして、フロドたちが旅をしている間にホビット庄を力で支配し、美しい田園風景を荒廃させてしまいます。

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旅から帰還したフロドたちは、この惨状を目の当たりにし、サルマンとその手下たちに立ち向かいます。最終的にホビットたちの蜂起によってサルマンは打ち負かされ、権威を完全に失います。フロドは彼に慈悲をかけ、命までは奪わずに追放しようとしますが、その直後、またしても蛇の舌グリマがサルマンを刺殺し、そのグリマもホビットの射手によって射殺されるという、より陰惨で後味の悪い結末を迎えます。
映画版では物語を簡潔にするために省略されましたが、原作では、悪が完全に滅びた後も、その残滓が平和な場所にまで影響を及ぼすという、現実世界の複雑さを反映した展開となっています。
最後にあの結末になったのはなぜか?
「ロード・オブ・ザ・リング」のクライマックスで、主人公フロドが自らの意志で指輪を破壊できず、結果的にゴラムとの争いの末に指輪が破壊されるという結末は、この物語のテーマを象徴する重要な場面です。なぜこのような展開になったのか、その理由は二つの大きな点から考えられます。
第一に、「一つの指輪」が持つ魔力の絶対的な強大さを示しています。物語を通して、指輪はどんなに強い意志を持つ者でも、最終的には屈服させてしまうほどの邪悪な力を持つことが描かれてきました。フロドは類まれなる意志の強さで滅びの山まで指輪を運びましたが、力の源泉である火口を目前にして、ついにその誘惑に抗うことができなくなります。これは、一個人の力だけで絶対的な悪に打ち勝つことの困難さ、人間の弱さをリアルに描いた結果と言えます。

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第二に、作者トールキンが伝えたかった「慈悲」と「希望」の重要性です。物語の序盤で、ガンダルフはフロドに「情けをかける心が、多くの者の運命を決める」と語ります。また、フロド自身も、何度もゴラムを殺す機会がありながら、彼にかつての自分と同じ「スメアゴル」の姿を見て慈悲をかけ、命を助けます。
もし、フロドやビルボがゴラムを殺していたら、滅びの山の火口でフロドが指輪の魔力に屈した時点で、世界はサウロンの手に落ちていたでしょう。しかし、彼らが生かしておいたゴラムが最後の最後で現れ、結果的に指輪を破壊する役割を果たしました。これは、過去にかけた小さな「慈悲」が、予期せぬ形で世界を救う「希望」に繋がったことを示しています。つまり、英雄の完璧な勝利ではなく、人間の弱さと、それを補う慈悲の心が奇跡を生むという、深く感動的な結末なのです。




壮大なロードオブザリングのあらすじ総括
この記事では、「ロード・オブ・ザ・リング」の壮大な物語のあらすじと、その背景にある様々なテーマについて解説してきました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
- 物語の核心は冥王サウロンが作った「一つの指輪」の破壊である
- 主人公は指輪を破壊する使命を負ったホビットのフロド・バギンズ
- フロドは8人の仲間と共に「旅の仲間」を結成し冒険に出る
- 三部作は「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」で構成される
- アラゴルンは放浪者からゴンドールの王へと成長する物語のもう一人の主役
- 指輪は所有者の心を蝕む強大な魔力を持つ権力と堕落の象徴
- ビルボは「ホビットの冒険」で指輪を偶然手に入れフロドに託した
- サウロンが指輪を作った目的は中つ国の全ての種族を支配するため
- 物語の元ネタには北欧神話やゲルマン神話が色濃く反映されている
- 裏切り者サルマンの末路は映画版と原作で大きく異なる
- フロドが最後に指輪を捨てられなかったのは指輪の魔力の強大さを示すため
- ゴラムへの慈悲が結果的に世界を救うという感動的な結末を迎える
- 視聴順は初心者に分かりやすい「公開順」が最もおすすめ
- 複雑な人間関係は相関図で整理すると理解が深まる
- 友情や自己犠牲、希望といった普遍的なテーマが物語の魅力となっている